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ひとりばうず
然りし
後、
此の(
一人坊主)は、
前とは
正反對の
位置に
立ちて、
乘合をして
却りて
我あるがために
船の
安全なるを
確めしめぬ。
私は
一體京都の
者で、
毎度此の
金澤から
越中の
方へ
出懸けるが、一
度ある
事は二
度とやら、
船で(
一人坊主)になつて、
乘合の
衆に
嫌はれるのは
今度がこれで二
度目でござる。
(
一人坊主)だと
言うて
騷いでござるから
丁度可い、
誰か
私の
弟子になりなさらんか、
而して二三
人坊主が
出來りや、もう(
一人坊主)ではなくなるから、
頓と
氣が
濟んで
可くござらう。