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ひとひとり
あたりはまったく
圃で、
人一人通らなかったのであります。
其に
不思議は
無いが、
如何に
人を
恐れねばとて、
直ぐ
其の
鶏冠の
上で、
人一人立騒ぐ
先刻から、
造着けた
躰にきよとんとして、
爪立てた
片脚を
下ろさうともしなかつた。
看よ、
他に
人一個居らぬ
畑中。
其所にわびしき
天幕を
張りて、
降るや
降らずの
中に
居る。それで
叔母達は
去るとも、
叔父と
共に
此所に
留るといふ。
四
圍を
緑葉の
林でめぐらして
居る、
其中の
畑地。
他には
人一個見えぬ。