“ひさき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
火先42.9%
火尖14.3%
灯先14.3%
久喜7.1%
久木7.1%
樋嘴7.1%
焔先7.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
鸚鵡おうむ返しの声が終らぬうちに、忠一の持った松明の火先ひさきが左へ揺れると、一けんばかり下の大岩のあいだに又もや金色こんじきが閃いた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
からみ合って、空へ立つ、と火尖ひさきが伸びる……こうなると可恐おそろしい、長い髪の毛の真赤まっかなのを見るようですぜ。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まだ突立つったったままで、誰も人の立たぬ店のさみしい灯先ひさきに、長煙草ながぎせるを、と横に取って細いぼろ切れを引掛ひっかけて、のろのろと取ったり引いたり、脂通やにどおしの針線はりがねに黒くうねってからむのが、かかる折から
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
深川での相手は山本の勘八と云う老妓であった。吉原では久喜ひさき万字屋の明石あかしと云うお職であった。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ぬばたまのけぬれば久木ひさきふるきよ河原かはら千鳥ちどりしばく 〔巻六・九二五〕 山部赤人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ここに見る石鬼いしおに樋嘴ひさき石葺屋根いしぶきやねの水を吐き出して、うてなに、窓に、隅折上すみをりあげに、鐘樓に、櫓に、軒に、足場に、この入り雜つた深穴ふかあなへ落すのだ。
石工 (旧字旧仮名) / ルイ・ベルトラン(著)
竈の下を焚きながら、黙り続けて焔先ひさきを視つめていた父親の捨吉は、だんだん瞼が熱くなって来た。そして大粒の涙が一つ、するするっと頬の上へ転がり出した。
黒い地帯 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)