“はなはだし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
太甚50.0%
50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
貫一はほとほと疑ひ得らるる限疑ひて、みづからも其のぼうすぐるの太甚はなはだしきを驚けるまでに至りて、始てめんと為たり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
逍遙子はあらしに似たる批評家の花にならざるを怪めども、われは逍遙子が花に慈なるに過ぎて、風を憎むことの太甚はなはだしきを怪めり。若批評の上に絶て褒貶はうへんなかりせば、我文界はいとゞ荒野とやなりなむ。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
浅膚あさはかな邪推とは言ひながら、人をふるも太甚はなはだしい! 失敬千万な、気を着けて口をおきなさい
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
子供の時分から成程さう云ふ傾向かたむきつてゐたけれど、今のやうに太甚はなはだしくはなかつたやうに考へるがな。子供の時分にさうであつたなら、今ぢや猶更なほさらでなければならんのだ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
およそ高利の術たるや、渇者かつしやに水を売るなり。渇のはなはだしへ難き者に至りては、決してその肉をきてこれを換ふるを辞せざるべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
思うに人生の惨禍は、の厄難屡来りて遂に貧に陥り、るに家無く、着るに衣無く、くらうに食無く、加うるに宿痾しゅくあに侵され、或は軽蔑せられ、人生に望を失うものよりはなはだしきはなからん。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
この心なる宮はこの一月十七日に会ひて、この一月十七日の雪に会ひて、いとどしく貫一が事のしのばるるにけてうたた悪人の夫を厭ふことはなはだしかり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
陰にはおのれ自ら更にはなはだしき不為をひながら、人の口といふもののかくまでに重宝なるが可笑をかし、と満枝は思ひつつも
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)