はなはだし)” の例文
およそ高利の術たるや、渇者かつしやに水を売るなり。渇のはなはだしへ難き者に至りては、決してその肉をきてこれを換ふるを辞せざるべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
思うに人生の惨禍は、の厄難屡来りて遂に貧に陥り、るに家無く、着るに衣無く、くらうに食無く、加うるに宿痾しゅくあに侵され、或は軽蔑せられ、人生に望を失うものよりはなはだしきはなからん。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
この心なる宮はこの一月十七日に会ひて、この一月十七日の雪に会ひて、いとどしく貫一が事のしのばるるにけてうたた悪人の夫を厭ふことはなはだしかり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
陰にはおのれ自ら更にはなはだしき不為をひながら、人の口といふもののかくまでに重宝なるが可笑をかし、と満枝は思ひつつも
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)