太甚はなはだし)” の例文
貫一はほとほと疑ひ得らるる限疑ひて、みづからも其のぼうすぐるの太甚はなはだしきを驚けるまでに至りて、始てめんと為たり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
逍遙子はあらしに似たる批評家の花にならざるを怪めども、われは逍遙子が花に慈なるに過ぎて、風を憎むことの太甚はなはだしきを怪めり。若批評の上に絶て褒貶はうへんなかりせば、我文界はいとゞ荒野とやなりなむ。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
浅膚あさはかな邪推とは言ひながら、人をふるも太甚はなはだしい! 失敬千万な、気を着けて口をおきなさい
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
子供の時分から成程さう云ふ傾向かたむきつてゐたけれど、今のやうに太甚はなはだしくはなかつたやうに考へるがな。子供の時分にさうであつたなら、今ぢや猶更なほさらでなければならんのだ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)