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にそく
二足つかみの
供振を、
見返るお
夏は
手を
上げて、
憚樣やとばかりに、
夕暮近き
野路の
雨、
思ふ
男と
相合傘の
人目稀なる
横※、
濡れぬ
前こそ
今はしも
「
又靴の
中が
濡れる。
何うしても
二足持つてゐないと
困る」と
云つて、
底に
小さい
穴のあるのを
仕方なしに
穿いて、
洋袴の
裾を
一寸許まくり
上げた。
鳩居堂で
方寸千言という常用の筆五十本線香
二束を買い
亀屋の
舗から
白葡萄酒二本ぶらさげて
外濠線の方へ行きかけた折であった。