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なゝつすぎ
も
厭はず自身に
夕申刻過より右の寺へ參る其夜
亥刻近き頃
宅へ
戻り來る途中
下伊呂村の河原にて死人に
跪きたれども
宵闇なれば物の
文色も
分らず殊に
夜陰の事故氣の
急まゝ早々
宿へ戻りて其夜は
打臥翌朝
門の戸を
何所へ參りしぞと
問れしかば女房何事か
出來したかと驚き今日は
商賣用にて
栗橋まで參りました故
申刻過には
大方戻りませう
併し御役人樣へ申上ます
妾しの
良人は當年六十に相成りますが
近所でも
佛林藏と申て何も惡事は
是迄少しも致しましたことは御座りませんが
些少なことは
も
厭はず
夕申刻過より右の寺へ參り暫時物語等致し居
存外遲なはり夜
亥刻近き
頃上伊呂村迄歸り來りし時河原にて何やらに
跪きたれども
宵闇なれば物の
文色は分らず
只人の樣子ゆゑ
酒に
醉し者の
臥り居し事と心得氣の
急まゝ能も
糺さず早々歸宅仕り其夜は
直樣打臥翌朝起出門の戸を