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ちやうしんき
ウム、
夫は
検熱器と
云ふものだ、
是が
聴診器、
是が
打診器と
云ふものだ。伊「へえー。殿「一つ
診てやらうか。登「いえ
私は
別段何処も。 ...
彼は
普通の
場合の
樣に
病人の
脉を
取つて、
長い
間自分の
時計を
見詰めてゐた。それから
黒い
聽診器を
心臟の
上に
當てた。それを
丁寧に
彼方此方と
動かした。
『
肺の
方から
來た
病人なのですがな。』とハヾトフは
小聲で
云ふた。『や、
私は
聽診器を
忘れて
來た、
直ぐ
取つて
來ますから、
些と
貴方は
此處でお
待ち
下さい。』