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たヽみ
其れから
畳の破れを新聞で張つた、
柱の
歪んだ
居間を二つ
通つて、横手の光琳の梅を書いた
古ぼけた大きい
襖子を開けると十畳敷許の
内陣の
と、
蝋燭の火を
下げて身を
屈めた
途端に、
根太板の上の或物は
一匹の白い
蛇に成つて、するすると
朽ち
重つた
畳を
越えて
消え去つた。
刹那、貢さんは
根太も
畳も
大方朽ち落ちて、
其上に
鼠の毛を
挘り
散した
様な
埃と、
麹の様な
黴とが積つて居る。落ち残つた
根太の
横木を一つ
跨いだ時、
無気味な
菌の
様なものを踏んだ。