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こめとぎをけ
(さあ、
私に
跟いて
此方へ、)と
件の
米磨桶を
引抱へて
手拭を
細い
帯に
挟んで
立つた。
(
其では
家へ
帰りませう。)と
米磨桶を
小脇にして、
草履を
引かけて
衝と
崖へ
上つた。
蒸氣の
立つ
臼を
勘次は
暫く
杵の
先で
捏ねた。
杵の
先が
粘つて
離れなく
成る。おつぎは
米研桶へ
水を
汲んでそれへ
浮べた
杓子で
杵の
先を
扱落して
臼の
中を
丸い
形に
直す。