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かずかぎり
遥か奥の
方には、葉のやや枯れかかった
葡萄棚が、影を
倒にうつして、
此処もおなじ
溜池で、門のあたりから間近な橋へかけて、
透間もなく
乱杭を打って、
数限もない材木を水のままに
浸してあるが
石疊で
穿下した
合目には、
此のあたりに
産する
何とかいふ
蟹、
甲良が
黄色で、
足の
赤い、
小さなのが
數限なく
群つて
動いて
居る。
數限もない
材木を
水のまゝに
浸してあるが、
彼處へ五
本、
此處へ六
本、
流寄つた
形が
判で
印した
如く、
皆三方から
三ツに
固つて、
水を
三角形に
區切つた、あたりは
廣く、
一面に
早苗田のやうである。