数限かずかぎり)” の例文
旧字:數限
筆者自身が酔うた翁に抜刀でおっかけられた話。その刀をアトで翁から拝領した話など数限かずかぎりもないが、右の通、翁の性格を最適切にあらわしているものだけを挙げてアトは略する。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ところがふと気がつきますと、蜘蛛の糸の下の方には、数限かずかぎりもない罪人たちが、自分ののぼった後をつけて、まるでありの行列のように、やはり上へ上へ一心によじのぼって来るではございませんか。
蜘蛛の糸 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
遥か奥のかたには、葉のやや枯れかかった葡萄棚ぶどうだなが、影をさかしまにうつして、此処ここもおなじ溜池ためいけで、門のあたりから間近な橋へかけて、透間すきまもなく乱杭らんぐいを打って、数限かずかぎりもない材木を水のままにひたしてあるが
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)