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かいなふ
燒失ひ其上
旱損昨年は
水難にて
段々年貢未進に相成候處當年は
是非皆納致し候樣村役人衆より
嚴敷沙汰に候得共
種々打續ての
災難故當惑致し居候處娘文事孝心により身を賣其金子にて
年貢の
不足を
皆納いたし候樣申呉候間甚はだ以て
不便の至りには候へ共
外に致し方も
無之據ころなく
文事
賣申度存じ候之に依て近日
召連出府致し候間
何れへ成共御
世話被下度此段御
相談申上奉つり候
猶委細は
拜顏之上申上
可候
早々以上
はじめ
家財雜具迄殘り
少なに燒失ひ其のみならず
引續きて
水旱の
難に
罹り難儀の
重なりて年々
殖る
年貢の
未進に當年こそは是非ともに未進の
皆納なすべしと
村役人より
促され素より
篤實一
遍の者なれば十兵衞夫婦は
膝摺寄如何なる
前世の
宿業にや追々續く
災難にて
斯迄困窮の身となりしぞ
斯る事の
無らん爲
鋤鍬の
勞を