黄巾こうきん)” の例文
「広宗の方面から逃げくずれて来る官軍を、黄巾こうきん総帥そうすい張角ちょうかくの軍が、大賢良師たいけんりょうしと書いた旗を進め、勢いに乗って、追撃してくるのでござる」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けだし天女ここに嘆き、清躯せいく鶴のごとき黄巾こうきんの道士がきたって、ひそかにたんを練り金を練る、その深妙境しんみょうきょうをしてここに夢み、あるい遊仙ゆうせんおかと名づけられたものであろう。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
そこに方丈ほうじょうの壇をむすび、何かの符を書いてそれをくと、たちまちに符の使い五、六人、いずれも身のけ一丈余にして、黄巾こうきんをいただき、金甲きんこうを着け、ほりのあるほこをたずさえ
世界怪談名作集:18 牡丹灯記 (新字新仮名) / 瞿佑(著)
そこに方丈ほうじょうの壇をむすび、何かのお符を書いてそれをくと、たちまちに符の使い五、六人、いずれも身のたけ一丈余にして、黄巾こうきんをいただき、金甲きんこうを着け、彫り物のあるほこをたずさえ
「それも、黄巾こうきんをつけたお前方の仲間だ。前の地頭じとうと戦った時、残党が隠れぬようにと、みな毒を投げこんで行った」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「将軍将軍。もしやあなたは、そのむかし黄巾こうきんの賊を平げ、近頃は荊州にいるという噂の劉予州りゅうよしゅう様とちがいますか」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黄巾こうきんの乱は諸州の乱となり、とうとう洛陽まで火は移ってきました。この北支の天地も、やがて戦乱の巷でしょう。ひとまず南のほうへ逃げましょう。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
打ち眺めれば、その人、まだ年歯ねんし二十歳がらみの弱冠で、頭は黄巾こうきんで結び、身に青錦せいきんほうを着て、たちまち山を馳けおり、渓河をこえて、関羽の前に迫った。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
予や、この一剣をもって、若年、黄巾こうきんの賊をやぶり、呂布りょふをころし、袁術えんじゅつを亡ぼし、さらに袁紹えんしょうを平げて、深く朔北さくほくに軍馬をすすめ、ひるがえって遼東を定む。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黄巾こうきん、諸州に蜂起してより、年々の害、鬼畜の毒、惨として蒼生そうせい青田せいでんなし。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黄巾こうきんの乱のはじめ、貧しき中に志をたて、まだろくな武備も人数も持たない私は、関羽、張飛のふたりと共に、乱におもむく公孫瓚の列に加えてもらい、またその陣を借りて戦いなどいたし
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孔明は素輿そよ(白木の輿)に乗って陣中を見まわり、常のごとく、黄巾こうきんをいただき白羽扇びゃくうせんを持ち、その出入を見るや、衆軍みな敬して、進止しんし軍礼、一のみだれも見ることができません、……実に
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)