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麥藁俵
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むぎわらだはら
勘次はお
品がどうにか
始末をして
置いた
麥藁俵を
明けて
仕上げた
計りの
藁俵へ
米を
量り
込んだ。
米には
赤い
粒もあつたが
籾が
少し
交つて
居てそれが
目に
立つた。
お
品は
蒲團の
中でも
滅切暖かく
成つたことを
感じた。
時々枕を
擡げて
戸口から
外を
見る。さうしては
麥藁俵の
側に
置いた
蒟蒻の
手桶をどうかすると
無意識に
見つめる。
「それでも
俵にしちや
置いたな」
勘次は
壁際の
麥藁俵を
見ていつた。お
品はまだ
俯伏した
儘である。