うらゝか)” の例文
このへんはもう春とつてもきたな鱗葺こけらぶき屋根やねの上にあかるく日があたつてゐるとふばかりで、沈滞ちんたいした堀割ほりわりの水がうらゝかな青空の色をのまゝに映してゐる曳舟通ひきふねどほり。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
東山遊覧客も日一日と殖えて来て、前の坂を上下する人の下駄の音や車の響も、終日長閑のどかうらゝかに聞えた。向ひの瓢箪屋で絶間なく客を呼ぶ声も、恰も鳥の高音を張るやうに景気づいて居た。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
てたが、近々ちか/″\見合みあはせた、うらゝかひとみたてにもれとか。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)