魯西亜ロシア)” の例文
旧字:魯西亞
「右の内(第五条を指す)には、品物取替の儀、政府に限り候事、取極は之なし、魯西亜ロシア人にてきめて外に品を付け申すべく候」。
空罎 (新字新仮名) / 服部之総(著)
欧羅巴ヨーロッパの通商をさまたげ、かつその平穏へいおんみだせし希臘ギリシア国の戦争をたいらげんがため、耶蘇教の諸大国、魯西亜ロシア国とともにこれを和解、鎮定ちんていせり。
日本の国防を完全にするには、満州から蒙古もうこあたりまで注目していなくてはならない。そのためには魯西亜ロシアと提携すべしだ。
城中の霜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
一月ばかり過ぎて、或る日伯は突然われに向ひて、「余は明旦あす魯西亜ロシアに向ひて出発すべし。したがひてべきか、」と問ふ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
東西南北どちらの方角を眺めても、彼の眼に映ずるものはことごと独乙ドイツの敵であつた。彼は魯西亜ロシアを軽蔑した。年来独乙の統一に反対する墺地利オーストリアも、彼の憎悪をまぬかれなかつた。
点頭録 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
兼ての内存と符合致ししきりに西洋周遊の念差起り、去秋長崎表へ渡来の魯西亜ロシア船へ身を托すかまたは漁船を雇い渡海すべしと九州筋遊歴の積りにて修理しゅり方へ暇乞いに罷り越し候処
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
魯西亜ロシア国と日本の条約中、第五ヶ条に、函館並びに下田ケは、既に魯西亜ロシア人緩優交易の発端御取り用ひ相成り候間、和蘭オランダ亜米利加アメリカ貌利太尼西ブリタニア国民の儀も
空罎 (新字新仮名) / 服部之総(著)
亜米利加アメリカが来ようが魯西亜ロシアが来ようが、己たちの知ったことじゃあない、……わかるか大さん
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その次に「トルストイ」の事が出ている。「トルストイ」は先日魯西亜ロシアの国教を蔑視べっしすると云うので破門されたのである。天下の「トルストイ」を破門したのだから大騒ぎだ。
倫敦消息 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一、遠くは本邦古先帝王にのっとらせられ、近くは魯西亜ロシアのペートルにのっとられたき事
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
そのさい黒田は、係争事件はことごとく無雑作に譲歩してしまい、九月帰京するや“樺太ノ経略、断然これヲ棄テテ魯西亜ロシアニ附シ、力ヲ無用地ニ労セズ、これヲ上策トス。
黒田清隆の方針 (新字新仮名) / 服部之総(著)
魯西亜ロシアと日本は争わんとしては争わざらんとしつつある。支那は天子蒙塵てんしもうじんはずかしめを受けつつある。英国はトランスヴㇵールの金剛石を掘り出して軍費の穴をめんとしつつある。
倫敦消息 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
定め置き、品物渡し方、並びに魯西亜ロシア人持ち越したる金銀品物も、その所に於て取扱ふべし。魯西亜人市店にて択みたる品は、商人売買値段に応じ、船中持ち渡しの品を
空罎 (新字新仮名) / 服部之総(著)