トップ
>
鬱懐
>
うっかい
ふりがな文庫
“
鬱懐
(
うっかい
)” の例文
伊籍は、
蔡
(
さい
)
夫人や蔡瑁が、劉琦をさしおいて、弟の劉琮を国主に立てたことを痛憤して、その
鬱懐
(
うっかい
)
を、玄徳へ訴えに来たのであった。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自らもその団体的娯楽によって
鬱懐
(
うっかい
)
を散する場合には、なんらの弊害なく、低級なる三味太鼓のざんざめきで、馬鹿囃子をやる如き騒ぎをしても
婦人問題解決の急務
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
仕るは狐の
化
(
ばけ
)
、なれども日頃の
鬱懐
(
うっかい
)
を開いて、思うままに舞台に立ちます、熊が穴を出ました意気込、
雲雀
(
ひばり
)
ではなけれども
虹
(
にじ
)
を取って引く
勢
(
いきおい
)
での……
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そういう
鬱懐
(
うっかい
)
があるので、烏丸中納言の館に上ったとき、つい思いが迫って、几帳の奥のひとに口説きかけたら、うれしく思います、という返事があった。
奥の海
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
彼は、胸のうちの寂しさとむしゃくしゃした
鬱懐
(
うっかい
)
とをもらすところのないままに、腕組をして、じっと考える。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
これは現状維持の
鬱懐
(
うっかい
)
がふくまれて居る様である。もう少し積極的表現のものとして
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そういう無関心に対して
鬱懐
(
うっかい
)
を強いるのもいさぎよくない心地がされるので、彼もまたそこまではいわずにただ杯をかさねていた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
案
(
つくえ
)
によって微吟し、そぞろに
鬱懐
(
うっかい
)
をやるの
体
(
てい
)
。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
光悦もまた、
真摯
(
しんし
)
に聞いてくれる語り相手を見出して、
鬱懐
(
うっかい
)
の至情を吐きつくすように——去るに忍びない
面持
(
おももち
)
で夜空と寂土の万象を四顧しながら
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
眺め得たのはむしろ望外なことだ。胸中の
鬱懐
(
うっかい
)
も焼き放つような心地がするぞ。……あの馬鹿者が、どんなに
慌
(
あわ
)
てて
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
、そう飲んだくれとばかり思うているから困る。平常の酒は、
鬱懐
(
うっかい
)
をはらすために飲むのだ。今夜はその鬱懐もいっぺんに散じて、愉快でならない吉報を
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
馬岱
(
ばたい
)
軍は
雅丹
(
がたん
)
宰相を生捕りにし、関興は恨みかさなる越吉元帥を馬上一刃のもとに斬って、
鬱懐
(
うっかい
)
をはらした。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ウム、入念だな。多年の
鬱懐
(
うっかい
)
もこの一瞬に晴らすか。そのせいかあの雲、血のように
筑波
(
つくば
)
の空を
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
として以下、ひとつ何々、ひとつ何々の事というふうに、信長が日ごろ義昭にいだいている不満、苦情、
鬱懐
(
うっかい
)
などのかずかずを、箇条書として、痛烈に
弾劾
(
だんがい
)
したものであった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ、説明できることは、こんなとき人間は、何か無性に
鬱懐
(
うっかい
)
を放ちたくなる。天地に向って
慟哭
(
どうこく
)
したい感情を反対な形で現わそうとした努力が、思わず
朗唱
(
ろうしょう
)
となったのかもしれない。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
熱心に聞いている顔つきを装うと、美少年は、
鬱懐
(
うっかい
)
をもらすように
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鬱
常用漢字
中学
部首:⾿
29画
懐
常用漢字
中学
部首:⼼
16画
“鬱”で始まる語句
鬱
鬱陶
鬱蒼
鬱憤
鬱々
鬱金
鬱勃
鬱積
鬱屈
鬱然