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韈
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くつした
ふりがな文庫
“
韈
(
くつした
)” の例文
雨降りだと、日本人がうるさく
附
(
つ
)
き
纏
(
まと
)
はないから、
韈
(
くつした
)
一つ買ふにも町中歩きまはつて、ゆつくり値段の廉いのを捜す事が出来るからださうだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
紫の
韈
(
くつした
)
穿
(
は
)
ける
議官
(
セナトオレ
)
、紅の袴着たる
僧官
(
カルヂナアレ
)
達を見て、おのれがかゝる間に入り、かゝる人に交ることを
訝
(
いぶか
)
りぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
いや、私は春になつてから此方へ来たんですけれども、公署でも見たものが沢山あります。靴も破れて
韈
(
くつした
)
だけで歩いて来た女などもあつたさうです。凍えて死んだ子供を
一少女
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
両側を
楆
(
かなめ
)
かなにかの生籬にしてあるのはいゝとして、狭い靴脱から、もう縁板がいやに拭き光りがしてをり、廊下を踏んでゆくと、茶黒い
光沢
(
つや
)
を帯びたものが
韈
(
くつした
)
を吸ひとるやうにひつぱるのである。
薄暮の貌
(新字旧仮名)
/
飯田蛇笏
(著)
珍しくうららかに
浅碧
(
あさみどり
)
をのべし初春の空は、四枚の障子に立て隔てられたれど、
悠々
(
ゆうゆう
)
たる日の光くまなく紙障に
栄
(
は
)
えて、余りの光は紙を透かして浪子が仰ぎ
臥
(
ふ
)
しつつ黒スコッチの
韈
(
くつした
)
を編める手先と
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
韈
(
くつした
)
を
編
(
あ
)
む女なりしが
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
色
紅
(
あか
)
き
韈
(
くつした
)
の
紐
(
ひも
)
。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
その日になると、市長はしつくりと礼服を着込み、絹製の
韈
(
くつした
)
に、おろし立ての靴を
穿
(
は
)
いて、大威張りで出かけて往つた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
靴と
韈
(
くつした
)
とは汚れ裂けたるまゝなり。後に
跟
(
つ
)
きて來たるは同じさまに汚れたる衣着たる父母なりき。この父母はおのれ等の信ぜざる
後世
(
ごせ
)
のために、その一人の童を賣りしなるべし。われ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
微笑を含みてこの
光景
(
ありさま
)
を見し浪子は、日のまぶしきに
眉
(
まゆ
)
を
攅
(
あつ
)
め、目を閉じて、うっとりとしていたりしが、やおらあなたに
転臥
(
ねがえり
)
して、編みかけの
韈
(
くつした
)
をなで試みつつ、また縦横に編み棒を動かし始めぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
夫人は
例
(
いつも
)
の事なので
良人
(
をつと
)
の方には見向きもしないで、せつせと
韈
(
くつした
)
を編むでゐた。女といふものは韈を編む時には
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
山羊は二頭づゝの列をなして洞より出で、山の上に登りゆけり。
殿
(
しんがり
)
には一人の童子あり。尖りたる帽を紐もて結び、
褐色
(
かちいろ
)
の短き外套を纏ひ、足には汚れたる
韈
(
くつした
)
はきて、
鞋
(
わらぢ
)
を
括
(
くゝ
)
り付けたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
自分の
韈
(
くつした
)
を買ひにか、それとも
貞奴
(
さだやつこ
)
への進物を
調
(
とゝの
)
へにか、そんな詮議は牧師か女中かのする事で、自分達のやうな忙しい人間のする事ぢやない。とにかく福沢氏は三越へ往つた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
韈
(
くつした
)
一つ買ふにも、市中の雑貨商を二三軒歩き廻つた上、一番
廉
(
やす
)
い店で買ふ事にする。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
韈
漢検1級
部首:⾰
23画
“韈”を含む語句
韈癬
布韈
沓韈
芒鞋布韈