雲井くもい)” の例文
雲井くもいかりと中将の結婚を許せということなのであろうか、もう長くおいでになれない御病体の宮がぜひにとそのことをお言いになり
源氏物語:29 行幸 (新字新仮名) / 紫式部(著)
龍巻たつまきは、雲井くもいへかけり去ったわしの行方などには目もくれず、すぐ手下に軽舸はしけをおろさせて、波間にただよっている伊那丸を、親船へ引きあげさせた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしの名は越智東風おちとうふうではありません、越智おちこちですと必ず断りますよ」「妙だね」と雲井くもいを腹の底までみ込む。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
をば雲井くもい
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
雲井くもいかりを忘れる時がないのであるが、大臣が厳重に監視しているのも恨めしくて、無理をして逢ってみようともしなかった。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
三四郎がのぞくやいなや隣の男はノートを三四郎の方に出して見せた。絵はうまくできているが、そばに久方ひさかた雲井くもいの空の子規ほととぎすと書いてあるのは、なんのことだか判じかねた。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
塔上とうじょうの二勇士、塔下とうかの三軍が、あれよと、おどろきさけんだ時には、万事休ばんじきゅうす、蛾次郎がじろう呂宋兵衛るそんべえ、ふたりを乗せた大鷲おおわしの影はまっしぐらに、三国山脈みくにさんみゃく雲井くもいはるかに消えていく。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雲井くもいかり夫人の生んだ娘たちよりも藤典侍とうてんじにできた六女はすぐれて美しく、性質も欠点のない令嬢なのであった。
源氏物語:44 匂宮 (新字新仮名) / 紫式部(著)
雲井くもいにあらそう両童子りょうどうじを乗せて、わしはいましも満々まんまんたる琵琶びわの湖水をめぐっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雲井くもいかりはすっかり恥ずかしがっているのであったが、別れた時に比べてさらに美しい貴女きじょになっていた。
源氏物語:33 藤のうら葉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
と言ったあとに大臣は雲井くもいかりのことを残念に思った。そうしたふうにだれと結婚をするかと世間に興味を持たせる娘に仕立てそこねたのがくやしいのである。
源氏物語:26 常夏 (新字新仮名) / 紫式部(著)
苦しそうにして舞い姫はからだを横向きに長くしていた。ちょうど雲井くもいかりと同じほどの年ごろであった。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
雲井くもいかりの所へは情けをこめた手紙を常に送っていても、表面はあくまでも冷静な態度を保っているのである。この態度をまた雲井の雁の兄弟たちは恨んでいた。
源氏物語:25 蛍 (新字新仮名) / 紫式部(著)
少将のことを雲井くもいかり夫人から再度申し込んで来た以前のことに対して、自分はそれに代える優遇法を考えていると言ったのであったがどう思っているであろうと
源氏物語:46 竹河 (新字新仮名) / 紫式部(著)
今夜の来賓としては雲井くもいかり夫人の兄弟である左衛門督さえもんのかみ藤宰相とうさいしょうなどだけが外から来ていた。やっとしてから出ておいでになった宮のお姿は美しくごりっぱであった。
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
と言って歎息たんそくはしたが、惜しそうにしてしいて夫人の手から取り上げることはしなかったから、雲井くもいかり夫人もさすがにこの場で読むこともできずにじっと持っていた。
源氏物語:39 夕霧一 (新字新仮名) / 紫式部(著)
失恋した雲井くもいかりよりも美しいように思われた玉鬘の顔を、なお驚きに呆然ぼうぜんとした気持ちの中にも考えて、気がつかなかったと思わぬ損失を受けたような心持ちにもなった。
源氏物語:29 行幸 (新字新仮名) / 紫式部(著)
雲井くもいかり夫人は姉の尚侍をうらめしくは思っているが、今まではそれほど親密に手紙も書きかわさなかったのに、あの問題があって、たびたび書いて送ることになったのに
源氏物語:46 竹河 (新字新仮名) / 紫式部(著)
結局自分の疑いは疑いでなくなってゆきそうであると、雲井くもいかり夫人が早くも観察していることにはばかられて、大将は小野の山荘を訪ねたく思いながらも実行をしかねていた。
源氏物語:39 夕霧一 (新字新仮名) / 紫式部(著)
などと小声で言うと、いよいよ恥ずかしく思って、雲井くもいかりはものも言えないのである。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
雲井くもいかりのほうでも父の大臣のらした恋人の結婚話から苦しい物思いをしていた。もしもそんなことになったならもう永久に自分などは顧みられないであろうと思うと悲しかった。
源氏物語:33 藤のうら葉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
内大臣は宮廷へはいる大がかりな仕度したくを、自家のことでなく源氏の姫君のこととしてうわさに聞くのを、非常に物足らず寂しく思っていた。妙齢に達した雲井くもいかりの姫君は美しくなっていた。
源氏物語:32 梅が枝 (新字新仮名) / 紫式部(著)
母の雲井くもいかり夫人からもそのことについての手紙も始終寄せられていた。
源氏物語:46 竹河 (新字新仮名) / 紫式部(著)
女御にょごが実家に帰っている時でもあったから、姉君にもって、悩ましい気持ちの少し紛らすこともできた雲井くもいかり夫人は、平生のようにすぐ翌日に邸へ帰るようなこともせず父の家の客になっていた。
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
雲井くもいかり乳母めのと大輔たゆう
源氏物語:33 藤のうら葉 (新字新仮名) / 紫式部(著)