りょう)” の例文
そして、命のごりょうをお作りになって、そのぐるりの田の中にしまろんで、おんおんおんおんと泣いていらっしゃいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
司馬遷しばせんりょうのために弁じて罪をえたことを伝える者があった。李陵は別にありがたいとも気の毒だとも思わなかった。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
御史ぎょし僧をただすに及びて、僧曰く、年九十余、今たゞ祖父のりょうかたわらに葬られんことを思うのみと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
行基の追随者のごとき持鉢行路者の多数は、この時に手ぎわよく処理せられた。天皇が不予だといっては三千八百人の僧尼がつくられる。太上天皇のりょうを祭るといっては僧尼各一千がせられる。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
李広利りこうりを破ったその敵の主力が今どのあたりにいるのか? 今、因杅いんう将軍公孫敖こうそんごう西河せいが朔方さくほうの辺でふせいでいる(りょうと手を分かった路博徳ろはくとくはその応援にせつけて行ったのだが)
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
たしかにまちがいのないことを知ると、彼は歯をくいしばり、思わず力を両手にこめた。男は身をもがいて、苦悶くもんうめきをらした。りょうの手が無意識のうちにその男の咽喉いんこうやくしていたのである。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)