陣笠ぢんがさ)” の例文
いで、戰場せんぢやうのぞときは、雜兵ざふひやういへど陣笠ぢんがさをいたゞく。峰入みねいり山伏やまぶしかひく。時節じせつがら、やり白馬しろうまといへば、モダンとかいふをんなでも金剛杖こんがうづゑがひととほり。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
故に現在の文壇にても、人道主義の陣笠ぢんがさ連は、自然主義の陣笠連より厄介物やくかいものたるを当然とす。(十月七日)
雑筆 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
坂本の玉は大砲方たいはうかたの腰を打ち抜いた。金助の玉は坂本の陣笠ぢんがさをかすつたが、坂本はたゞ顔に風が当つたやうに感じただけであつた。本多のたままつたまとをはづれた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
分別ふんべつをするから、つぶてつたり、煙管きせる雁首がんくび引拂ひつぱらふなど、いまやうな陣笠ぢんがさ勢子せこわざ振舞ふるまはぬ、大將たいしやうもつぱ寛仁大度くわんにんたいどことと、すなは黒猫くろねこを、ト御新造ごしんぞこゑ内證ないしよう眞似まね
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)