附随ふずい)” の例文
旧字:附隨
だが、息子のそれらの良質や、それに附随ふずいする欠点が、世間へ成算せいさん的に役立つかとあやぶまれるとき、また不憫ふびんさの愛がえる。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「自分に附随ふずいして今日までひとつに来た将士へも、直義へ附いた将士と同様、すべてに平等な恩賞を授与じゅよしてやりたい」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
またひとの後に従って、それで満足して、在来の古い道を進んで行く人も悪いとはけっして申しませんが、(自己に安心と自信がしっかり附随ふずいしているならば、)
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すなわち彼等の目的もくてき時機じきに投じて恩威おんいならほどこし、くまでも自国の利益りえきらんとしたるその中には、公使始めこれに附随ふずいする一類いちるいはいにも種々の人物じんぶつありて
之を純粋な言葉と言うべきものであろう(文章の練達ということは、この高い精神に附随ふずいして一生の修業を賭ける問題であるから、この際、ここでは問題とならない)
FARCE に就て (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
嬰児を怪しむのではなく、当然それに附随ふずいしている筈の者を、すぐ臆測にのぼせて、種々さまざまな疑いを描き
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これを無智単純と見、或いは慾にられての附随ふずいとし切るのは、この場合、余りにもいたましいすうである。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど事実は、かれの行くところ、必ず、見えない供の者が、いて歩いた。江戸城の隠し目付藪田助八に、手となり足となる助力者が附随ふずいしていないわけもない。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おびただしい鎌倉殿の御家人が各〻居館を新築し、それに附随ふずいしている将士もみな、集団的に住居を建て始めているから、その景気のよさはすさまじかろうとは誰にでも想像がつく。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大坂築城と、それに附随ふずいする、五畿経営のことだけでも、容易な事業ではない。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)