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阿母
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おかあ
ふりがな文庫
“
阿母
(
おかあ
)” の例文
あるとき、
家
(
うち
)
の者はみんな外出して、酒井氏と氏の
阿母
(
おかあ
)
さんとたつた二人で留守番をしてゐたことがあつた。氏は煙草が飲みたくなつた。
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
すると泰さんは落着き払って、ちょいと麦藁帽子の
庇
(
ひさし
)
へ手をやりながら、「
阿母
(
おかあ
)
さんは御宅ですか。」と、さりげなく言葉をかけました。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「わしにも
大切
(
だいじ
)
な
阿母
(
おかあ
)
さんなら、お前にとっても一人の母親だ。この老母を路頭に迷わせるようなことがあってはならぬからな」
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
旦那の又直ぐ後を、白地の浴衣を着た藤野さんの
阿母
(
おかあ
)
さん、何かしら手に持つた儘、火の樣に熱した礫の道路を
裸足
(
はだし
)
で……
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
竹ちやん、お前も十二やよつてな、櫻井の驛子別れの時の
正行
(
まさつら
)
と
同
(
おな
)
い
年
(
どし
)
や。
阿母
(
おかあ
)
さんのいふことを、よう覺えときや。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
▼ もっと見る
「そのうちには如何したつて
阿母
(
おかあ
)
さんの方に一処になることになるに極つてゐるわ、あたしは平気だけれど。」
鶴がゐた家
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
ひとりは女中らしい
二十歳
(
はたち
)
ばかりの女で、一人は十六ぐらいのお嬢さん、もう一人はこの
阿母
(
おかあ
)
さんらしい四十前後の上品な奥さんで、みんな
寡言
(
むくち
)
なつつましやかな人達だから
河鹿
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「何ですか、お国では
阿父
(
おとう
)
さんも
阿母
(
おかあ
)
さんもお変りは有りませんか?」
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
氏は教育家だけに、どんなに人手が欲しい場合にも、
阿母
(
おかあ
)
さんだけには物を頼まなかつた。氏は言ひにくさうに頭をかいた。
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
今日でまる三日の間、
譫言
(
うわごと
)
ばかり云っている君の看病で、お敏さんは元より
阿母
(
おかあ
)
さんも、まんじりとさえなさらないんだ。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「泊つて行きなはるか。……久し振りや、
阿母
(
おかあ
)
さんの
乳汁
(
ちゝ
)
可味
(
おい
)
しおますで。」と千代松は微笑みつゝ言つて、
背後
(
うしろ
)
に
竦
(
すく
)
んでゐる竹丸を母の前へ引き出さうとした。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
藤野さんは、
其以前
(
そのまへ
)
、村から十里とも隔たらぬ盛岡の市の學校にゐたといふ事で、近江屋の分家の、呉服屋をしてゐる新家といふ家に、
阿母
(
おかあ
)
さんといふ人と二人で來てゐた。
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
阿母
(
おかあ
)
さんはやらないの?」と、隣りの部屋を指して訊ねた。
昔の歌留多
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「君もいたのか。」「僕もいるしさ。君の
阿母
(
おかあ
)
さんもここに御出でなさる。御医者様は今し方帰ったばかりだ。」
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「そら仕樣がないと言や仕樣がないが、さう言うたもんやおまへん。なア
坊
(
ぼ
)
んち、……
阿母
(
おかあ
)
さんに會ひとおまツしやろ。」と、千代松は
微笑
(
ほゝゑ
)
みながら竹丸の顏を見詰めた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「
阿母
(
おかあ
)
さん、申し兼ねますが、そこにある煙草盆をこつちへ蹴飛ばして下さい。」
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
一遍
(
いつぺん
)
來とくれやす。
屹
(
きつ
)
とだツせ。……
明日
(
あした
)
……
明後日
(
あさつて
)
……そら
阿母
(
おかあ
)
はんが喜びはりまツせ。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
家の
阿母
(
おかあ
)
さんにも勝つた、これから一つこの和尚さんに勝つて、どうしてもあのおいしさうな駿河屋の羊羮を喰べねばならぬと、文吾は小ひさな胸に、自ら問ひ、自ら答へて、深く決心した。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
『そら、あつたこともあるか知りまへんが、今はあれしまへん。
嘘
(
うそ
)
と思ふんなら、
家
(
うち
)
へ來て見なはれな、
阿母
(
おかあ
)
はんと、
妓
(
こ
)
ども二人と
四人家内
(
よつたりがない
)
だすがな。』と、これだけは
囁
(
さゝや
)
くやうに低く言つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「
阿母
(
おかあ
)
さん……」と、文吾も夢のやうな聲で呼んだ。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
“阿母”の意味
《名詞》
母親を敬い、親しみをこめていう語。
乳母。
(出典:Wiktionary)
阿
漢検準1級
部首:⾩
8画
母
常用漢字
小2
部首:⽏
5画
“阿母”で始まる語句
阿母様
阿母樣
阿母加奈志
阿母嘉那志