門閥家もんばつか)” の例文
その一人は、近国の門閥家もんばつかで、地方的に名望権威があって、我がままの出来る旦那だんな方。人に、鳥博士ととなえられる、聞こえた鳥類の研究家で。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
坂井さかゐ道具屋だうぐや素性すじやうつてゐた。出入でいり八百屋やほや阿爺おやぢはなしによると、坂井さかゐいへ舊幕きうばくころなんとかのかみ名乘なのつたもので、この界隈かいわいでは一番いちばんふる門閥家もんばつかなのださうである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
やっとのことで、門閥家もんばつかの、領地有りゃうちもちの、としわかい、教育けういく立派りっぱな、何樣なにさま才徳さいとく具足ぐそくしたをとこうもありたいもの、とのぞまるゝとほりに出來上できあがってゐる婿むこさがして、供給あてがへば、ともない
坂井は道具屋の素性すじょうをよく知っていた。出入でいりの八百屋の阿爺おやじの話によると、坂井の家は旧幕の頃何とかのかみと名乗ったもので、この界隈かいわいでは一番古い門閥家もんばつかなのだそうである。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)