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門閥家
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もんばつか
その一人は、近国の
門閥家で、地方的に名望権威があって、我が
儘の出来る
旦那方。人に、鳥博士と
称えられる、聞こえた鳥類の研究家で。
やっとの
事で、
門閥家の、
良い
領地有の、
年の
若い、
教育も
立派な、
何樣才徳の
具足した
男は
斯うもありたいもの、と
望まるゝ
通りに
出來上ってゐる
婿を
搜して、
供給へば、
見ともない
坂井は道具屋の
素性をよく知っていた。
出入の八百屋の
阿爺の話によると、坂井の家は旧幕の頃何とかの
守と名乗ったもので、この
界隈では一番古い
門閥家なのだそうである。