くさ)” の例文
波に千鳥をすかして、すかした所に紙が張ってある。このなかへ、どうしたらがつけられるのかと、先生は仰向あおむいて長いくさりをながめながら考えた。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのわがまゝのとほらぬこともあるまじきなれど、らきは養子やうし身分みぶん桂次けいじはつく/″\他人たにん自由じゆううらやみて、これからのすゑをもくさりにつながれたるやうにかんがへぬ。
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これは大僧正クランマーである。青き頭巾ずきん眉深まぶかかぶり空色の絹の下にくさ帷子かたびらをつけた立派な男はワイアットであろう。これは会釈えしゃくもなくふなべりから飛びあがる。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)