あし)” の例文
「ウィル旦那がこの鎌と鋤を町へ行って買って来いってきかねえんでがす。眼の玉がとび出るほどおあしを取られましただ」
黄金虫 (新字新仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
手入らずのおあしかからずだとて、客をもてなすにも清子のお粥である。良人はよくこう冷やかした。
茶粥の記 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
小山内氏はい事を承認したものだ。もしか女がその折おあしを立て替へたとでも言つたら、「ほんとにさうだつたね」と二つ返事で身銭みぜにを切つて払つてやるとなほよかつた。
『屹度、なんですよ。先生からおあしを貰つたから歩くのが可厭いやになつて、日の暮れまで何處かで寢てゐて、日が暮れてから、そつと歸つて來て此村へ泊つて行つたんですよ。』
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
慈円 あの私たちは托鉢たくはついたして歩きますものでおあしを持っておりませんので。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「数にして三十枚よ。さあおあしつももったら? ああ妾にゃア見当がつかない」
銀三十枚 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「さあさあごらんなさい、おあしは一せん。」
夕焼け物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わっしは今『陽気な船乗りジョリー・ター』の酒場で立派におあしを払って積みこんだ『ハミング・スタフ』を満載してるんでさ。
『屹度、なんですよ。先生からおあしを貰つたから歩くのが可厭いやになつて、日の暮れるまで何処かで寝てゐて、日が暮れてからそつと帰つて来て此村ここへ泊つて行つたんですよ。』
葉書 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『だつて、お母さん、あなたあの叔父さんとお話をなさると、いつでも鑑定料とかいふものを取られていらつしやるんでせう、でも、私その折おあしを一文も持つてなかつたんですもの。』
あしがないから宿には着けないのですって。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)