金輪かなわ)” の例文
とあやしまれたがのちによく見れば、独楽こま金輪かなわの一たんに、ほそい金環きんかんがついていて、その金環から数丈すうじょうひも心棒しんぼうにまいてあるのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
キシさんはお金を渡すと、金輪かなわさらやナイフや大きなまりなど、手品の道具を、地面に敷いてあったむしろに包んで、それをかかえて、さっさと立ち去ってしまいました。
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
けれどもそれはふつうの金あみや金輪かなわではなくって、ただ細い絹糸きぬいとを二、三本、鼻の回りにむすびつけて、あごの下にふさをらしてあった。白いカピは赤い糸をむすんでいた。
鹽灘しほなだにて早けれど晝餉ひるげしたゝむ空暗く雲重ければいさゝか雨を氣遣ふ虚に付け入り車に乘れと勸む八幡やはたの先に瓜生峠うりふたふげとてあり其麓までと極めて四挺の車を走らす此邊の車には眞棒しんばう金輪かなわ
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
観海寺から八まん地獄の方へ行つて見ても好いし、金輪かなわから亀川の方へ行つて見ても好かつた。更に半日を費せば、宇佐八まんにお詣りすることも出来た。耶馬渓やばけいの谷ふかく入つて行くことも出来た。
女の温泉 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
そのするどい金輪かなわの火が一つコツンと頭にふれたらさいご、にくほねも持ってゆかれるのはうけあいである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬車ばしゃのかたすみには、かばんや毛布、大きなまり金輪かなわや、ナイフや棒など、いろんなものが積み重なっています。それに、馬車には馬も二頭ついていて、いつ駆けだすかわからないありさまです。
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「おのれっ」投げたのは、彼が、賊の手下から奪って賊を痛めつけていた金輪かなわはまったかしの棒であった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
斬りすべった厚重あつがさねの太刀たちを持ちなおすもなく、火の玉のようにちゅうまわりをしてきた火焔独楽かえんごまをガッキと刀のつばでうけたが、そのとたんに、独楽こま金輪かなわつばのあいだから
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)