金椎キンツイ)” の例文
清澄の茂太郎は何をしている、岡本兵部の娘も精神状態が心もとないのに、金椎キンツイは耳が聞えないのに、マドロス氏は言葉が通じない。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「はい、一人残らず、茂太郎も、金椎キンツイさんも、マドロス君も、もゆるさんも——それから、お松に、登様——土地の船頭さんたち」
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
駒井のこの住居すまいには、このごろいちじるしく室がふえているはずなのに——金椎キンツイひとりを眠らせて置いて、みんなどこへ行ったのだろう。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
駒井甚三郎が竜の疑惑から、しゅの問題に進んで行く時、あわただしく金椎キンツイが紙を持って来て、二人の前に提示しました。それを読むと
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この点に於て、無名丸は無信丸である、五月丸とは天地の相違がある——我等の無名丸の中には、金椎キンツイを除いて祈る人などは一人もいない。
それから駒井甚三郎は、歩廊の間を歩いて、コック部屋のところへ来ると、ここで金椎キンツイ君を見舞ってやりたい気になりました。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
闖入者がいかにこの場で蹂躙じゅうりんをほしいままにしても、それは結局、この金椎キンツイの平和なる仮睡をさえ破ることなくして終るのだからツミはない。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
清澄の茂は一種の天才であり、あの存在が一般の芸術をつとめる。金椎キンツイは黙々として聖書を読み、うまき料理を一同に提供することを使命としている。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
さて、この船出の写真絵を見ると、諸人もろびとが皆、祈っている。日頃、金椎キンツイがするように、小舟の中に行く人も、岸に立って送る人も、みな祈っている。
もちろんこれは、舟の乗組の一人、つんぼにしておし、イエスキリストを信ずること深き支那少年金椎キンツイであったことを、柳田平治はまだ知りませんでした。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ところがまもなく、米飯と、野菜と、魚肉とを、一つの皿に盛り上げたのを持って、物置へ入って行く金椎キンツイを見る。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それから、金椎キンツイさんは神様を信じているから、わたしたちがこんな間違いをしたって許してくれる。それから茂ちゃん——あの子は何をするものですか。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
折よくそこへ金椎キンツイがお茶を運んで来たものですから、駒井は金椎にいいつけて、狂女を表の方へ廻らせました。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そうして、白雲は、駒井の応接室へ来て、たくを隔てて椅子に身を載せて相対すると、そこへ金椎キンツイが紅茶と麦のお菓子を持って来て、出て行ってしまいました。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その晩餐の席には、料理方の金椎キンツイも、平等に食卓の一方をしめ、お給仕役は岡本兵部の娘が代りました。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
無名島に上陸した無名丸の乗組のうちに、書きらされた存在として、柳田平治と、金椎キンツイとがあります。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それが、ややもすれば金椎キンツイに虚を突かれたり——孤島の哲学者に逆説法を食ったりするのは、事が自分の研究の職域以外としても、光栄ある無識ではないのである。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
駒井甚三郎と、田山白雲とは、しゅの問題にまで会話が進んだ時に、金椎キンツイのために腰を折られました。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
程経て金椎キンツイが、そのドアを押してみたけれどもあかない、叩いてみたけれども返事がありません。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それを数えてみると、お松がいる、金椎キンツイがいる、乳母が登を抱いている、茂太郎がここでも般若はんにゃの面を放さないでいる、それとマストの前にはマドロス君が頑張っている。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
金椎キンツイを呼んで夕飯を取る以前に、自分の居間へ入ると、燭台に蝋燭ろうそくの火をつけて、かなり疲労していた身体からだを、いつもするように、ぐったりと寝台の上へ投げかけようとして
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その他、乳母ばあや、船頭さん、金椎キンツイさんまでが、どんな隠し芸を持っていようともはかられぬ。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「それから、駒井の殿様も、金椎キンツイさんも、マドロスさんも、みんないいかげんのところがかきうつしてしまってあるのよ、ほんとに絵かきの先生に逢っちゃ、たまらないと思うわ」
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
晩餐ばんさんの時、金椎キンツイが大きな不安の色を以て、筆談で念を押した時も、あの子に限って大丈夫よ、と信任を置いて打消した娘であるのに、今になって、その名を呼びながら、帰れ帰れと
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
兵部の娘も、金椎キンツイも、おのおの、とこについて、安らかに眠りに落ちているようです。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
駒井が船橋ブリッジの上で、お松を相手に熱心に植民を説いている時分、マドロスは料理場から金椎キンツイが得意の腕をふるってこしらえた大きな真白いお饅頭まんじゅうを五つばかり貰って、それを抱えると
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
金椎キンツイによって、西洋文明のたてを流れているキリストの教えを教えられ、今はまた、ここで自分が絵画とか美術とかいうものに対する知識と理解の、極めて薄いことをさとらせられました。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
例によって、金椎キンツイが出て来て茶煙草をすすめる。七兵衛はお辞儀をするばかり。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
白雲の給仕役は例の金椎キンツイです。まもなく白雲と金椎とは心安くなりました。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
支那の少年金椎キンツイが説いて、駒井甚三郎ほどのものが解釈しきれなかった耶蘇やその教えというものも、この書物が是とも非とも教えていないではないか——そのほか、白雲はまだ風馬牛ふうばぎゅうではあるが
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
駒井甚三郎が金椎キンツイを手許に置くようになった因縁をいえば、過ぐる月、駒井はひとりで鳥銃をになって、房州の山々をめぐり、はしなく清澄の裏山へ出て、そこで一羽のきじを撃ちとめたところから
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
安房あわの国の洲崎すのさきで、駒井の番所へ闖入ちんにゅうし、金椎キンツイの料理を食い散らしてから、衣食がって礼節を戸棚の隅から発見すると、性の本能が横溢し、その狼藉ろうぜきの鼻を田山白雲に取っつかまって腰投げをくら
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この少年がつんぼであることを知り、筆談によって、その名の「金椎キンツイ」であることを知り、なお筆談を進めて行って、ウイリアム先生というのから受洗じゅせんした耶蘇ヤソの信者であることを知り、本来の支那語と
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
船中には田山白雲、茂太郎、金椎キンツイ、柳田平治、お松その他の乗組は月ノ浦を出でた通りだが、釜石から新たに七兵衛が若い娘をつれて乗込む。しかもその七兵衛は、俗体入道の変った姿になっている。
支那少年金椎キンツイ
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
├─金椎キンツイ
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)