“野広(のびろ)” の例文
旧字:野廣
観客の頭を昏乱(こんらん)させるから、劇場向きではないが、野広(のびろ)いところで遠くの方から見ていると、自然に面白味がわかって来ると書いてあった。
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
野広(のびろ)く生きていられる気がするが、江戸の藩邸では、朝も夕も、主君と一つ棟(むね)にいて、跫音(あしおと)も気をつけて歩かなければならないし、非番となっても、藩邸内の長屋住まいなので
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いくら野広(のびろ)いところだって、橋本以外にも灯が見える事もあるだろうと尋ねても、やっぱりあれだと云う。はたしてそうであった。灯は夕方宿から迎(むかえ)に出した支那人の持って行った提灯(ちょうちん)である。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
エヒミチは窓(まど)の所(ところ)に立(た)って外(そと)を眺(なが)むれば、日(ひ)はもうとッぷりと暮(く)れ果(は)てて、むこうの野広(のびろ)い畑(はた)は暗(くら)かったが、左(ひだり)の方(ほう)の地平線上(ちへいせんじょう)より、今(いま)しも冷(つめ)たい金色(こんじき)の月(つき)が上(のぼ)る所(ところ)、病院(びょういん)の塀(へい)から百歩(ぽ)ばかりの処(ところ)に
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)