酒色しゅしょく)” の例文
有志といえる偽豪傑連にせごうけつれんよりは、酒色しゅしょくを以ていざなわれ、その高利の借金に対する証人または連借人れんしゃくにんたる事を承諾せしめられ、はて数万すまんの借財をいて両親に譴責けんせきせられ
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
あの酔漢よっぱらい丸山本妙寺まるやまほんみょうじ中屋敷に住む人で、元は小出こいで様の御家来であったが、身持みもちが悪く、酒色しゅしょくふけり、折々おり/\抜刀すっぱぬきなどして人をおどかし乱暴を働いて市中しちゅう横行おうぎょうし、或時あるときは料理屋へあがり込み
さててきしくすりなどふくして、木村氏のもとにありしが、いつまでも手をむなしくしてあるべきにあらねば、月給八円の雇吏やといとしぬ。その頃より六郎酒色しゅしょくふけりて、木村氏に借銭しゃくせん払わすること屡々しばしばなり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
長い間の酒色しゅしょく放埒ほうらつのむくいからか、彼女の体は自由がきかなくなっていた。それでも彼女のおごりの癖は、吉原の老妓や、名古屋料理店の大升だいますの娘たちなどを、入びたりにさせ、機嫌をとらせていた。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)