あしら)” の例文
枯木の幹を横さまに、その周囲に七つ八つの椎茸を描いたもので、円い太腿をした蟋蟀が二つあしらってあった。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
硝子戸ガラスどのはまった格子こうしの出窓の外が、三尺ばかり八ツ手や青木の植込みになっており、黒石などをあしらってあったが、何か自分のことらしいので、銀子は足を止めて耳を澄ましていたが
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
銀髪のロダン夫人が白茶しらちや色にダンテルをあしらつたゆたかな一種のロオブを着て玄関の石階いしばしを降りて来られた。何時いつか写真版で見た事のあるロダン翁の製作の夫人の像其儘そのまゝびんふくらませやうだと思つた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
新しい近江八景を選ぶのもいゝが、何処かに一つづつがんや雨やをあしらつて欲しいものだ。
何でも襖障子ふすましやうじ一面に葦とかりとをき、所々にかり羽叩はばたきして水を飛揚とびあがつてゐるのをあしらつた上、天井にはかりの飛ぶのを下から見上げた姿に、かりの腹と翼の裏をいてつたといふので名高かつた。