逆樣さかさま)” の例文
新字:逆様
始めとして富澤町の實父じつぷにも兄にも先立さきだつ不幸ふかうの罪おゆるなされて下されよ是皆前世の定業と斷念あきらめられて逆樣さかさまながら只一ぺんの御回向を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「尻餅をついたからよかつたやうなものの、逆樣さかさまに落ちたら一ぺんに死んでしまひますよ。私はもう、あの家に居るのが怖くてしやうがない」
「あのひところしてください。」——この言葉ことばあらしのやうに、いまでもとほやみそこへ、まつ逆樣さかさまにおれをおとさうとする。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
もしこの神でなくば、その神の子のタケミカヅチの神を遣すべきでしよう。ヲハバリの神はヤスの河の水を逆樣さかさまきあげて道を塞いでおりますから、他の神では行かれますまい。
物干から御内儀さんの身體を逆樣さかさまに投げ落すほどの力のあるのは、あの家の中にはたつた一人しか居りません。
逆樣さかさまに手をうつて青々とした神籬ひもろぎを作り成してその中に隱れてお鎭まりになりました。
左横手の押入のふすまは開いたまゝ、中段から血潮の瀧を掛けたやうになつて、人間が一人、押入の天井から、逆樣さかさまにブラ下つたまゝ死んでゐるではありませんか。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
今の内儀とはまゝしい仲のお菊といふ十七になるのが、昨夜の十五夜のお月樣を見るんだと言つて、裏の物干臺に登り、どう間違つたか、足を踏み外して、逆樣さかさまに落ち
「憎い奴等だ。地獄の釜の中へ、逆樣さかさまに叩き込み度いほど憎い奴等だが、仕組みが巧過うますぎて、手も出せない——口惜しいがになる證據が一つも無いのだよ」
と立直るところを、足をさらはれて、さすがの八五郎、逆樣さかさまに引くり返つて了ひました。
何んと船の底には、逆樣さかさまに植ゑた一パイの五寸釘