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逃出
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にげいだ
庇間合へ
捨置て
早足に
逃出し手拭ひにて深く
頬冠りをなし
膽太くも坂本通りを逃行く
機から向うより町方の定廻り同心手先三人を
不図立聞して
魂魄ゆら/\と足
定らず、
其儘其処を
逃出し人なき
柴部屋に夢の
如く
入と等しく、せぐりくる涙、あなた程の方の女房とは
我身の
為を思われてながら吉兵衛様の
無礼過た言葉恨めしく
知ざるは
人間にあらずといふ儘に
引捕ければ三吉は大に驚き
逃出さんとする所を肥前の小猿
飛懸りて
拔打に右の腕を打落すに雲切仁左衞門は
大脇差を
飛違へ未だ
生若き腕ながら一
生懸命切捲れば流石に武士の
働きには敵し難くや駕籠舁ども是は
叶はじと
逃出すを
何國迄もと
追行中豫て
相※やなしたりけん地藏堂の
扉を