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追駈
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おつかけ
追駈候中とくに日は暮
方角も
分らず
彷徨居りしうち
※らずも九助に出會段々の物語りに
手間取追々夜も
更行に
隨ひ月も出しかば夫を
大聲で『
雲飛先生、雲飛先生! さう
追駈て
下いますな、
僅か四兩の
金で石を賣りたいばかりに仕たことですから』と、
恰も
空中人あるごとくに
叫び
來るのに
出遇つた。
そして
家へ走り帰つて信次と
追駈ゴツコをして遊んで居たチヨンを抱きあげて
廻り夫より所々を
見物しける内一
疋の
鹿を
追駈しが鹿の
迯るに寶澤は
何地迄もと思あとを
慕しも
終に鹿は見失ひ
四方を
見廻らせば
遠近の山の
櫻今を
切て早くも
人込の中へ
迯込だり軍平も
後より
追駈けれども終に
見失ひ切たる片袖は軍平が手に
殘りければ奧田が前へ
持出て只今火附を捕へんとせし處斯の如く袖を