近接ちかづく)” の例文
こはかの悪僕八蔵が、泰助に尾し来りて、十分油断したるを計り、狙撃ねらいうちしたりしなり。僥倖さいわいに鏡を見る時、後に近接ちかづく曲者映りて、さてはと用心したればこそ身を全うし得たるなれ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つぐ遠寺ゑんじかねガウ/\とひゞき渡りいと凄然ものすごく思はるればさしも強氣がうきの者共も小氣味こきみ惡々わる/\足にまかせて歩行あゆむうちあをき火の光り見えければあれこそ燒場やきば火影ひかげならんと掃部は先に立て行程にはや隱亡小屋をんばうごや近接ちかづく折柄をりから道の此方こなたなる小笹をざさかぶりし石塔せきたふかげより一刀ひらりと引拔稻妻いなづまの如く掃部が向うずね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)