かろん)” の例文
旧字:
世界に存する貧の十分の九は懶惰より来ることを記憶せよ、また正直せいちょくなる仕事は如何に下等なる仕事といえども決してかろんずるなかれ
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
また評論中にはひたすら重きを歌麿に置かんと欲せしが故かややもすればその以前の画工鳥居清長とりいきよなが鈴木春信すずきはるのぶらをかろんぜんとするかたむきあり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
一般について云えば、従来日本の女の教育のしきたりでは科学が非常にかろんじられていた。
市民の生活と科学 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
およそ左道さとう惑溺わくできする者は、財をむさぼり、色を好み、福を僥倖ぎょうこうに利し、分を職務に忘れ、そと財をかろんじ、義をおもんずるの仁なく、うち欲にち、身を脩るの行なく、うまれて肉身の奴隷となり
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
他人の忠告決してかろんずべきものにあらず、人は自身のかおを見るあたわざるがごとく社会における己の位置をも能く見ること能わざるべし
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
一 その始め少年の遊戯より起りたればとて後年その人の作をかろんずるにも当らず、成人の後おおいに感憤して書いたものなりとてまたあながち尊ぶには及ばぬなり。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
余はアイヌ人の国に到れば余のアイヌ人に勝る学識を有するの故を以てアイヌ人に関するアイヌ人の思想をかろんぜざるなり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
そして女というものは、横暴残忍な行動をその欲するがままにさせて置く男を一番よく愛する。女は男をかろんじて尻に敷くか、そうでなければ反対に男からなぐられなければ満足しない。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)