身長たけ)” の例文
身長たけが非常に高かった。五尺七、八寸はあるらしい。肉付きもよく肥えてもいた。皮膚の色は銅色あかがねいろでそれがいかにも健康らしかった。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
湯から上がって、二人が板の間にすえてある器械の上に乗って、身長たけを測ってみた。広田先生は五尺六寸ある。三四郎は四寸五分しかない。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
誰かが、不用だといっていたインバネスが、身長たけひくいおじいさんの、丁度よい外套になりはしたが——
並みはずれに身長たけの詰ったじくじくした体や色の蒼白い細面なども、坐る時薄々目に入った。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
部屋の片隅の卓の上に、二尺あまりの身長たけを持った、人形が一つ置いてある。奈良朝時代の貴女風俗、そういう風俗をした人形である。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
湯からあがつて、二人ふたりが、いたに据ゑてある器械のうへつて、身長たけはかつて見た。広田先生は五尺六寸ある。三四郎は四寸五分しかない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
年は三十とはいっているけれど、一見すると五十ぐらいに見え、身長たけといえば四尺そこそこ、そうして醜いみつくちであった。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
白布が後を追って来ていて、数間の背後に身長たけ高く立ち、頭を天井てんじょうへ届かせそうにしながら、走って来るのが見てとられた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、十数間離れたあなたに——もと来た方の家ののきに、その軒よりも高いほどに、身長たけ高い一本の御幣ごへいのようなものが、風に靡いて立っていた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その範之丞は肉痩せてはいたが、身長たけは普通でスラリとしてい、そういう身体へ同じように、野袴をつけ羽織をつけ、編笠を深くかぶっていた。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
岩と土と苔と權木、そんなもので出来ている小丘であって、人間の身長たけの二倍ほどの間口と、長い奥行とを持っていた。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「七尺もあろうかと思われるような身長たけの、しかも糸のように痩せている体で、あの道の方はすごいということで」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鋭い大きい緑色の眼、洋人特有の淡紅色の皮膚。——そして其外人は中肉ではあったが非常に身長たけは高かった。
人間製造 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
枯れ草が人の身長たけよりも高く、自然に生えて延びている。その向こうの小丘の脈が、土坡のように巡っている。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
道服めいた衣裳を着て、払子ほっすを持った身長たけの高いおきなの、古物商の刑部が露路を走って、露路の口まで出て来た時には、しかし松平碩寿翁は、その辺りにはいなかった。
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
身長たけが高く肥えていて、面長の顔をしているようであった。どこか巫女みこめいたところがある。
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
白の練絹の寝衣を着、同じ丸絎まるぐけの帯を結びその身長たけ高く八尺を越え、頭髪はさながら白銀の如く、延びに延び生えに生え、たてがみのよう背を蔽い、まさにきびすに達しようとしている。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
武士の身長たけが高いので、紙帳を背後うしろにして立ったすがたは「中」という字に似ていた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「何だろうあれは? 化物かしら? 内の人が消えてなくなってその代わりにあんな小男が。……ひしゃげた鼻、釣り上った眼、身長たけと云えば四尺ばかり……それがわたしを睨んだんだよ」
善悪両面鼠小僧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
痩せてはいるが身長たけ高く、黒の法衣を纏っている。日本の僧侶の法衣ではない。吉利支丹きりしたん僧侶の法衣である。胸に何物か輝いている。銀の十字架が月光を吸い、キラキラ輝いているらしい。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
昆虫館主人の眼と来ては、霊智そのもののような眼であったが、こっちの眼は意志的英雄的である。昆虫館主人よりも身長たけが高く、そうして一層肥えてもいる。健康そのもののような体格である。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
後に残った怪紳士は臆するような様子も無く椅子にドカリと腰を下し葉巻を悠々とかし出した。真黒な瞳、真黒な髪、鳶色とびいろの皮膚、やや低い身長たけ、彼の様子は一見して亜細亜の人間に近かかった。
闘牛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)