足業あしわざ)” の例文
主殿助は、死にもの狂いに、足業あしわざを仕かけたが、助右衛門の声に駈け上がって来た兵たちが、忽ち、かれを高手小手にいましめた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
胸いたへ一そう真額まびたいへ一太刀と、不破、奥田の打撃が加えられたが、それでもまだ小林平八郎は、仰向けに仆れながら、太刀を振り足業あしわざを働かせて
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして起き上がるところをまた、西門慶得意の足業あしわざらしく、武大のみぞおちを狙ってばっと蹴とばした。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
転がった上へは、間髪を入れず、黄まだらなうねりが尾を曳いて走り、武松のどこかをくわえたかと見えたが、逆に虎の体がもんどり打った。彼の足業あしわざは虎をして狼狽させた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下に組み伏せられたと見えた眼八、足業あしわざにかけて、相手の胴を万力まんりきのように締めつけ、源次が
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もつれて二、三歩、二人の体がよろけ合ったかと見ると、軽く身を寝かした金吾が、敵の体を足業あしわざに乗せて、ストンと猫がえりに乗りかかって、手もなくそこへ捻じ伏せました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上になり下にころげして、たがいに致命的ちめいてき急所きゅうしょをおさえつけようとしているうちに、蛾次郎がじろうは竹童のからだへ足業あしわざをかけて、そのもとをぬけるやいな、パッとかけはなれて
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「オオ、お出来でかしなさいました。——が油断をしていると、足業あしわざにかけられますぞ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
脇差をッ放して、跳びついてきた男のすねを、足業あしわざでパッと払って、自分はあざやかに立っていた。庄次郎は爽快な熱さに顔を赤くしていた。自分の腕力に初めて自信をとりもどしたように
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
びかかった二人の捕手が、かれの両足を引ッ張った。大亀は、畳の上に、もんどり打って、仰向けになり、足業あしわざをつくしてね起きると、必死の勢いで、勝手の雨戸を、体で突き破った。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
足業あしわざをやって、子どもを差し上げたり、亀の子みたいに、背中で廻って
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
唖は、足業あしわざをして、二、三度、彼を蹴とばした。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
姦夫かんぷ足業あしわざ武大ぶだ悶絶もんぜつさせ、妖婦は
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)