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訛伝
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かでん
ふりがな文庫
“
訛伝
(
かでん
)” の例文
旧字:
訛傳
しかしその事件から基次、関東に内通せりとの
訛伝
(
かでん
)
ありし為既に死は決していたらしい。その心情の
颯爽
(
さっそう
)
たる実に日本一の武士と云ってもよい。
大阪夏之陣
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それは、この街道筋の東西の雲助という雲助が、明日という日に関ヶ原で総寄合を行うということの
訛伝
(
かでん
)
でありました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ことむずかしくいえば、
土牢
(
どろう
)
は
塗籠
(
とろう
)
で、すなわち“
塗
(
ぬ
)
り
籠
(
ご
)
め”——壁ばかりな部屋ということの
訛伝
(
かでん
)
であろうか。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の生死不明の
噂
(
うわさ
)
は彼の養っていた畜群が
剽盗
(
ひょうとう
)
どものために一匹残らずさらわれてしまったことの
訛伝
(
かでん
)
らしい。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ここにおいて、そのことの全く
訛伝
(
かでん
)
、虚構に出でたることを知り、その由を寄書者に答えおけり。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
▼ もっと見る
『増補浮世絵類考』に国直は豊国の門に入るに先立ちて
明画
(
みんが
)
を学びまた
自
(
みずか
)
ら北斎の画風に親しみ、
新
(
あらた
)
に一家を成さんとの意ありし事を記せり。これは
訛伝
(
かでん
)
にあらざるべし。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その時グランの僧正が引導を渡したと云うのは
訛伝
(
かでん
)
である。それに反して、女房ユリアが夜明かしをして自分で縫った黒の喪服を着て、墓の前に立ったと云うのは事実である。
破落戸の昇天
(新字新仮名)
/
フェレンツ・モルナール
(著)
二葉亭が軍事探偵の嫌疑で二タ月か
三月
(
みつき
)
も拘禁されたように
噂
(
うわさ
)
され、これに関聯して秘密の使命を受けていたかのような想像説まで生じたのは多分この事が
訛伝
(
かでん
)
されたのであろう。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
これがこういう場合にお定まりであるようにいろいろに誤解され
訛伝
(
かでん
)
されている。
春六題
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
されば現時持て
囃
(
はや
)
さるる「味の素」は蛇を煮出して作るというも嘘でないらしいと言う人あり。琉球で海蛇を食うなどを
訛伝
(
かでん
)
したものか。効用といえば未開半開の世には蛇が裁判役を勤めた。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
世人が史学に注目するに至れるは
頗
(
すこぶ
)
る喜ぶべきの観あり。然れども思へよ、史学の根底は正確なる事実にあり。而も在来の伝説史籍、謬説世を誤り
訛伝
(
かでん
)
真を蔽ひ炯眼の士なほかつ之が弁別に
苦
(
くるし
)
む。
史論の流行
(新字旧仮名)
/
津田左右吉
(著)
(
芸妓
(
げいしゃ
)
二名の死傷は
訛伝
(
かでん
)
也)……
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ほとんど、これは
訛伝
(
かでん
)
でなく、いやいやながら信長もその事実を認めざるを得ないほど、衆口一致していた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこへ代官暗殺されその幽霊の来襲を
惧
(
おそ
)
るる事甚だしくなりて、今更盛んに目籠を以てこれを禦ぎしより、ついに専ら代官殺しが、日忌の夜笊を出す唯一つの起りのよう、
訛伝
(
かでん
)
したのであろう。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
人為的とは、虚言、
訛伝
(
かでん
)
等によりてその実を誤るものをいう。偶然的とは、さきに第一節に掲げたる二、三の例のごときものをいう。この二者はともに事実にあらざるをもって、これを虚偽と名づく。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
(讃岐
中郡
(
なかごおり
)
へ、変更の儀は、
実
(
まこと
)
か
訛伝
(
かでん
)
か)と、官へ急使をやって、問いあわせた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これも後に聞けば、やはり虚説、
訛伝
(
かでん
)
であったそうだ。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
訛
漢検1級
部首:⾔
11画
伝
常用漢字
小4
部首:⼈
6画
“訛”で始まる語句
訛
訛言
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訛称
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