観世撚かんじんより)” の例文
旧字:觀世撚
あによめう云ふ旧式な趣味があつて、それが時々とき/″\おもはぬ方角へてくる。代助ははさみさき観世撚かんじんより結目むすびめつつきながら、面倒な手数てかずだと思つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その赤塗の表には名宛なあても何も書かないで、真鍮しんちゅうの環に通した観世撚かんじんよりの封じ目に黒い墨を着けてあった。代助は机の上を一目見て、この手紙の主は嫂だとすぐ悟った。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
手紙てがみ古風こふう状箱じようばこうちにあつた。その赤塗あかぬりおもてには名宛なあてなにかないで、真鍮しんちうくわんとほした観世撚かんじんよりふうくろすみを着けてあつた。代助はつくえうへ一目ひとめ見て、此手紙のぬしあによめだとすぐさとつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)