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覓
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みつ
ふりがな文庫
“
覓
(
みつ
)” の例文
何事か頭に
閃
(
ひら
)
めいて来たらしい。その
眸子
(
ひとみ
)
は
昵
(
じっ
)
と、眼下に突出している岬のあたりを
覓
(
みつ
)
め、右手の指は鉄の柵を
急
(
せわ
)
しく叩きだした。
廃灯台の怪鳥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
嘉兵衛は茫然と、宙を
覓
(
みつ
)
めたまま肩で息をついている——娘のお稲だけは、投出された濡雑巾のように、畳の上へうち伏して
泣咽
(
なきむせ
)
んでいた。
暗がりの乙松
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
船長は
眤
(
じっ
)
と伊藤の眼を
覓
(
みつ
)
めた。伊藤青年は力に溢れた微笑を見せている。——
如何
(
いか
)
にもさあ行きましょうと云いたそうだ。
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
……そしてそのようすを、朽木大学だけが、眼をうるませて
覓
(
みつ
)
めていた、今にも涙の溢れ出そうなまなざしだった。
松風の門
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼女は痩せた男に
執拗
(
しつこ
)
く
覓
(
みつ
)
められたり、体の隅々まで
舐
(
な
)
めるような視線に会ってもべつだん不快な顔をせず
蛮人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
残る三名、拒む気力なく二三間退く、孫次郎は刀の柄へ手をかけたまま、
眤
(
じっ
)
と相手の眼を
覓
(
みつ
)
めながら云った。
おもかげ抄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
純子は手の書物をつと
卓子
(
テーブル
)
の上へ置いて、じっと空を
覓
(
みつ
)
めていたが、ふいに正三のほうへ向いて云った。
豹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
……それから母親がはいって来るまでのかなり長い時間、彼は身動きもせずに部屋の一隅を
覓
(
みつ
)
めていた。
日本婦道記:小指
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
だからと云いかけて、彼はじっとおかやの眼を
覓
(
みつ
)
めた。それは彼女の眼を透して心のなかまで
覗
(
のぞ
)
くような烈しい視線だった、そうして相手の眼を覓めながら彼は云い継いだ。
日本婦道記:二十三年
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
じっと
覓
(
みつ
)
める久之進の眼から慌ててそむきながら、小萩は突放すように云った。久之進は身を退いた。そして静かに数えながら三十歩だけ遠退き、振返って大剣の
鞘
(
さや
)
を払った。
粗忽評判記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
玄一郎はその眼をひたと
覓
(
みつ
)
めてから、机上に
披
(
ひら
)
いてある書物のほうへ向き直った。
山だち問答
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
頬を染め、熱い
太息
(
といき
)
をつきながら、不由の眼は遠のく浅二郎の姿を
覓
(
みつ
)
めていた。
入婿十万両
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
正吉の体がぴくっと
痙攣
(
ひきつ
)
った。波打っていた背中が停まった、——正吉は恐る恐る顔をあげた、そして手燭の光に照された主人の面を、白痴のような眼で暫く
覓
(
みつ
)
めていたと思うと、突然
お美津簪
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
正吉は壁へ
凭
(
もた
)
れたまま
虚
(
うつ
)
ろな眼で
空
(
くう
)
を
覓
(
みつ
)
めていた、——とろんと濁った眼だった、
蒼白
(
あおじろ
)
い紙のように乾いた皮膚、げっそりとこけた頬、
艶
(
つや
)
を失った髪の毛……お紋は
慄然
(
りつぜん
)
として眼を外向けながら
お美津簪
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
恐怖のために顔はひき
歪
(
ゆが
)
み、
双
(
ふた
)
つの眼はとび出すかと疑えるほど大きく
瞠
(
みひら
)
かれていた、その眼で靱負をひたと
覓
(
みつ
)
めながら、おかやは「ああ、ああ」と意味をなさぬ声をあげ、激しく
身悶
(
みもだ
)
えをした。
日本婦道記:二十三年
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そう思ったとき、
道化
(
ピエロ
)
の方でも五郎の顔を
眤
(
じっ
)
と
覓
(
みつ
)
めたようだった。
劇団「笑う妖魔」
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
宗方博士は不審な
面持
(
おももち
)
で新田を
覓
(
みつ
)
めた。
廃灯台の怪鳥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
暫く
覓
(
みつ
)
めていたが
おもかげ抄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
覓
漢検1級
部首:⾒
11画
“覓”を含む語句
妻覓
求覓
覓國使