見殺みごろし)” の例文
まさかにいたほどでもあるまいが、それ本当ほんたうならば見殺みごろしぢや、みちわたし出家しゆつけからだれるまでに宿やどいて屋根やねしたるにはおよばぬ、追着おツついて引戻ひきもどしてらう。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「貫一さん、貴方は私を見殺みごろしになさるのですか。どうでもこの女の手に掛けて殺すのですか! 私は命は惜くはないが、この女に殺されるのはくやしい! 悔い‼ 私は悔い‼」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「それはいけません。僕等は、あなた方を見殺みごろしには出来ません」
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
まさかに聞いたほどでもあるまいが、それが本当ならば見殺みごろしじゃ、どの道私は出家しゅっけの体、日がれるまでに宿へ着いて屋根の下に寝るにはおよばぬ、追着おッついて引戻してやろう。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
余り立派で、貫一は恥入つた! 宮、俺は面目めんもく無い! これまでの精神とは知らずに見殺みごろしに為たのは残念だつた! 俺があやまりだ! 宮、赦してくれよ! いか、宮、可いか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
けれども、器具も、薬品も不完全なので、満足に看護も出来ず、見殺みごろしにしたのが多いのですもの、敵情を探るなんて、なかなかどうしてそこどころまで、手が廻るものですか。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いや話は別で、そうかといって見ております訳ではござりません。殊に千破矢様というのがその後へおいでなすったという風説うわさ、白魚の姉御がいった若様なんで、味方の大将を見殺みごろしにはされません。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)