見廻みめぐ)” の例文
贋探偵の銀平が出去いでさりたる後、得右衛門はなお不審晴れ遣らねば、いまの内を見廻みめぐるに、畳に附たる血のあとあり。一箇処のみか二三箇処。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まはり夫より所々を見物けんぶつしける内一ぴき鹿しか追駈おつかけしが鹿のにぐるに寶澤は何地迄いづくまでもと思あとをしたひしもつひに鹿は見失ひ四方あたり見廻みめぐらせば遠近をちこちの山のさくら今を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
九助は次第に心地元に復し、始めて幻夢のめたる如く、首を挙げて四辺を見廻みめぐらすに、時は既にさるの下りとおぼしく、太陽巒際らんさいに臨み返照へんしょう長く横たはれり。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
小皿伏せたるやうなるふち狭き笠に草花くさばな插したるもをかしと、たずさへし目がねいそがはしくかなたこなたを見廻みめぐらすほどに、向ひの岡なる一群きはだちてゆかしう覚えぬ。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)