袖屏風そでびやうぶ)” の例文
光の穂は風に吹かれて消えさうになびいたが、彼の妻の袖屏風そでびやうぶの陰で、ゆらゆらと大きく揺れた。風は何時の間にかおだやかになつて居たが、雲はすさまじい勢で南の方へ押奔おしはしつて居た。
わざとらずがほつくりながらもくれなゐわれしらずおほ袖屏風そでびやうぶにいとゞこゝろのうちあらはれて今更いまさらきたることもありひとみぬひまの手習てならひ松澤まつざはたかとかいてまた塗隱ぬりかくすあどけなさ利發りはつえても未通女氣おぼこぎなりおなこゝろ芳之助よしのすけごとしとくちにはいへど歳月としつきはわがためゆづるたゆみしやうにおぼえてかしらすほどのまどろかしさよ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)