衝突つきあた)” の例文
「おおお前はお吉女郎! 道の暗さについうっかり、衝突つきあたったはお互いの粗忽そこつ、何もとがめられる点はない……妾は少し急ぐ故これでご免」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ばあさんはそは/\としつゝせまいのでたがひ衝突つきあたつてはさわぎながら、自分じぶんいへときのやうな節制たしなみすこしもたもたれてなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あいつに一つ衝突つきあたらないやうに、其様そんなことを思ふだけサ……第一、河に近いのが何よりだ。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
昨日のように、街から街とさまよい歩いたが、眼がくらんで幾度も人に衝突つきあたった。
小さきもの (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
と大鎌は肩をかすめ島君の袖を切り裂いた。その呼吸に素早く乗り、前へ島君はヒラリと飛んだがとたんに何者にか衝突つきあたった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
勘次かんじとおつぎとが晝餐ひるかへつてとき卯平うへいなかつた。かれよるつてのつそりと戸口とぐちつた。勘次かんじにはようとして大戸おほどをがらりとけたとき卯平うへい衝突つきあたさうつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
お吉は鎌を右手に握りふもとを指して走りかかったが、暗さは暗し道は悪し、またもや人に衝突つきあたった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、ボンと衝突つきあたった。
戯作者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)