街中まちなか)” の例文
また、路上競馬ろじょうけいばといって、街中まちなかの、二条大路でも催されたことがあるし、野外の行幸先で、ふいに下命によってやる場合もめずらしくない。
街中まちなかでくり返されているできごとなどには注意を向けたこともなかったが、知ってのとおり、彼の同僚の年若い官吏などは
外套 (新字新仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
この街中まちなかにある藤井病院の産室で、死んだようにぐったりと眠っているお母さんの横に小さい蒲団ふとんが敷いてあって、そこに天使てんしのような小さな赤ん坊が
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
足下おぬしは、街中まちなかせきをして足下おぬし飼犬かひいぬ日向ひなたぼこりをおどろかしたとうて、あるをとこ鬪爭けんくわをした。
さうして京都の八坂神社の塔を意外なたて込んだ街中まちなかに発見する如く、広場の一方の人家の上に有名なノオトル・ダムのカテドラルが古色を帯びて屹立きつりつする雄姿を仰ぐのであつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
瓔珞蛇ダボヤたけ五尺に達する美麗な大毒蛇だが、時に街中まちなか車馬馳走の間に睡りてごうも動かず、いささかも触るれば、急に起きて人畜を傷つけ殺す(サンゼルマノ『緬甸帝国誌ゼ・バーミース・エンパイヤー』二十一章)
街中まちなかは瓦重なる夕かげをまだじじとある蝉が庭木に
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
足どり亂して響きのない影が街中まちなかをふみまはる
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
となったので、柴進は燕青とふたりだけで、まずその日、ひと足先に、帝都東京とうけい街中まちなかへ下見に入った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
往来ゆききの多い街中まちなか
妄動 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)