葡萄棚ぶだうだな)” の例文
彼は又、その家の周囲まはりかんばしいにほひを放ついろいろの草花を植えた。彼の部屋の、書卓テーブルゑてある窓へ、葡萄棚ぶだうだなの葉蔭をれる月の光がちら/\とし込んだ。
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
裏庭うらにはとおもふあたり、はるおくかたには、のやゝれかゝつた葡萄棚ぶだうだなが、かげさかしまにうつして、此處こゝもおなじ溜池ためいけで、もんのあたりから間近まぢかはしへかけて、透間すきまもなく亂杭らんぐひつて
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
室生はまだ陶器のほかにも庭を作ることを愛してゐる。石を据ゑたり、竹を植ゑたり、叡山苔ゑいざんごけはせたり、池を掘つたり、葡萄棚ぶだうだなを掛けたり、いろいろ手を入れるのを愛してゐる。
野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)