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萬能
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まんのう
おつぎはそれから
又泣いて
居る
與吉と
死骸の
如く
横はつて
居る
卯平とを
見た。おつぎは
萬能を
置いて
與吉の
火傷した
頭部をそつと
抱いた。
彼は
毎日のやうにおつぎを
連て、
唐鍬で
切り
起した
土の
塊を
萬能の
背で
叩いては
解して
平坦にならさせつゝあつたのである。
勘次は
萬能をぶつりと
打ち
込んではぐつと
大きな
土の
塊を
引返す。おつぎは
漸く
小さな
塊を
起す。
勘次の
手は
速かに
運動してずん/\と
先へ
進む。